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ママンの夏の子 クロコチビ (♀)
草木が紅く 秋色に 染まりはじめた 頃
ミケコチビが すがた を 消した
仲間たちも ひとり ふたりと、古木の裾を はなれ
クロコチビは ひとり ぼっちに なってしまった
彼女は孤独から逃れるように
仲間を 求めて 塔裏に辿り着いた
だが そのすがたは 弱々しく 哀しげだった
ひとりぼっちの クロコチビ…
そして 彼女もまた ミケコチビを追うように
すがた を 消してしまった
何かが少しずつ そして 確実に 変わりはじめていた
出逢いと 別れが 交差しても
秋色を迎えた墓地は 何も語ろうとはしない
ねぇ あなたは だれ? どこから 来たの?
ねぇ あの子た ちは どこ?
賑やかだった 古木の裾は まるで 幻
ひとつの季節の終わりは
ひとつの物語の終わり を 告げた
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2002/10
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