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ブチ ャイ ク を さ がしに
屋根のない ひみつ の 基地に 行くと
いい按配に 視界 を 遮っていた
高垣 の 植え込み が 見事に 丸裸になっていた
当然 の 如く そこに 彼らの すがたはなく
方々に 足 を 運んでみたが
やはり 彼に 逢うことは 出来なかった
ようやく 彼 の すがた を 視界に とめたのは
葉サクラ 茂る 四月 の 暮れのころだった
彼は 三兄妹 が 暮らす カラス森の塔裏で
おだやかな 風 と たわむれていた
「 おい! こらっ! ずいぶん 心配したんだぞ! 」
「 どこかに ゆくときは 伝言ぐらい 残してゆけよ! 」
そんなこと を 云ったところで
彼には 彼 の 事情 が あるようだ
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2002/04
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