それは 夏 の 暮れのことだった

彼女は すがるように ひざの上に

駆けあがると ひしと 爪 を 立て

いつまでも はなれようとはしなかった


ひとみに は 泪 が 溢れていた

彼女は 明らかに 怯えているのだ


首元 が 腫れていた

輪 を 刻む 細いキズ …


それは おそらく ピアノ 線のようなもので

絞めあげたに ちがいなかった


幸い 大事には 至らなかったものの

得体の知れぬ 不安 と 恐怖 が

重く 不気味に 残されたままだった

2001/08
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