2003/05



彼は ジロウ通り の 一角に 身 を 置くと

まるで 見えない 檻の中 に 囚われた

罪なき 捕虜 の 如く ただ じっと 暮れていた


なんとか 傷口は ふさがったよ

土色 と 化した その身だって

だ いぶ うつ くしさ を 取り 戻してきたよ

けれど 凍りつた 彼 の ひとみ に

とびっきり の 笑顔 が 戻ることはなかった


やけに 青ざめた 光 が 侘しく

いたく 疲れた 彼 の こころ を 射している

身 を 蝕む 心因性 の 脱毛痕 …

血 が 滲むほどに 悪化した ぐずっ鼻 …

なんだって 絶望 は 次々 と すがた を 変え

力なき 生へ と つけこんで くるのだろうか …
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