2002/02
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新月半ば … クロが 外人墓地から すがた を消した
こんなことは これまで 一度だってなかった
きっと すぐ もどって来るはずさ!
そう ウンチ くんに 言い聞かせながら クロを待った
だが 時だけが 悪戯に 過ぎてゆく
あの日 … クロは 何か云いたげに
何度も 振り 返っていた
彼は あの時 このことを伝えたかったのだろうか …
あてなく 濁す 焦りの歩 …
「ボクハ ココニ イルヨ!」
そんなヒ ミツの伝言板も 見つかりはしない
ふと、立ち止まれば いつの間にか
ハル よ 待てじと、咲きはじめた
甘い梅花の香りが いざ 目覚めよと、ばかりに
まだ 眠りつく 草木らを 呼び醒ましていた
ぽつねん ぽつねん ひとり ぼっちのウンチ くん …
ぽつねん ぽつねん ひとり 待ちわびる ウンチ くん …
ふたり は あまりにも 特別だったから
クロの存在が あまりにも 大きかったから
何か 少しすつ そして 確実に 狂いはじめていた
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